fantasia
この曲は、自作の物語の筋をもとに書いた幻想曲である。
映画音楽のメドレーをイメージし、流れるように移り変わっていく構成と、分かりやすい和声を用いている。
また、物語の場面に応じて、それ以前に作曲した旋律を3曲登場させている。
全体として単純で稚拙な印象が目立つが、大学における創作の原点はこの曲であるため、是非オープニングを飾りたいと考えた。
Variations"Aoi Sora"--My Diaries from 1998 to 2008—
1998年前後に作曲された自身の曲「青い空」を主題(テーマ)にし、1つ1つの変奏を毎年の日記のように書き連ねて作られた変奏曲である。
各変奏は、当時の自分の心境や出来事に合わせ、それぞれ独立した楽曲形式をもつ。また、2001年と2002年の間(中学進学)・2004年と2005年の間(高校進学)・2007年と2008年の間(大学進学)のタイミングには間奏が入れられている。
なお、全曲を演奏すると約20分かかり、これは自身の作品の中で一番演奏時間の長い作品である。また、今後も日記として補筆を重ねていく予定。
1998 主題(「青い空」原曲)
1999 スケルツォ
2000 ロマンス
2001 エチュード
間奏1
2002 ワルツ
2003 ファンタジア1
2004 ファンタジア2
間奏2
2005 ノクターン
2006 バラード
2007 パッサカリア
間奏3 主題の再現
2008 フィナーレ
小プレリュード
もともとは、8月に行われたコンサートの際に「tWo」に対するプレリュードとして作曲。「tWo」に負けない情熱を持った曲、そしてロマン派の和声を意識した、観客の心が温かくなる作品を、と考えた。
作風としてはブラームスの小品を意識した。また、演奏面では弱音ペダルを多用し、繊細でやわらかい音の響きと低音の鳴りの対比を目立たせた。形式は、序奏・展開部分での新しい要素の出現など、最大限に自由化された3部形式。
誄歌への前奏曲
大学の学内演奏会にて初演する作品を考えた際、ソプラノの友人に演奏してもらうこと、そして自分が当時研究しはじめたばかりの「日本音楽」の要素を取り入れること、さらに「大学の奏楽堂」という環境を活かした作品にすることという前提のもとに考え出された作品。
誄歌(るいか)とは、雅楽の種目でもあるが、死者を悼(いた)むという意味合いでも使われる。この前奏曲では、亡くなった人(幽霊)が誰かを呼んでいる、という背景を想像して考えた。
構成は、「序(じょ)」・「破(は)」・「急」・「滅(めつ)」の4楽章形式となっている。歌詞は、すべての仮名を重複させずに使って作られた誦文(ずもん)「いろは歌」で、少しずつ形を変えて、何度も執拗に繰り返される。
鎮魂歌――2011.04.03.――
もともとは、大学の作曲専攻生とサクソフォーン専攻生による恒例のコラボ演奏会で演奏するため、ソプラノサクソフォーン4本とアルトサクソフォーン2本という編成で作曲。今回はソプラノサクソフォーンとピアノのデュオに編曲して演奏する。
内容としては、亡くなった友人との思い出を保存しておけるように、また、自分が前を向いて進めるように、そんな思いを込めて作曲した。
全体は法会(ほうえ)(供養を行うための行事)のプログラムをイメージし、4つの短い楽章によって構成されている。
一、入場 僧侶が入場する場面。Saxのソロとトゥッティ(Pfパート)による。
二、荘厳(しょうごん) 会場を清める意。10小節しかない短い楽章で、笙(しょう)の合(あい)竹(たけ)を参考にした。
三、読経(どきょう) 全体の主要部分で、陰旋法による。Pfに出てくるcis音のオスティナートは
経をイメージしている。
四、回向(えこう) 修めた功徳(くどく)を広く巡らせる意。短いフレーズを3回繰り返す。